行政書士開業 徒然日記

57歳で行政書士開業を決意した男のブログです

実務の勉強メモ 番外編 「事業再構築補助金について」

毎日暑い日が続いていますね。このブログを更新するのも久しぶりです。

さて、今月の十日に、第11回目の事業再構築補助金の公募が開始されました。今回は、「実務の勉強メモ 番外編」として、その内容について少し触れてみたいと思います。


まず、今回の公募では、①「成長枠」、②「グリーン成長枠」、③「卒業促進枠」、④「大規模賃金引上促進枠」、⑤「産業構造転換枠」、⑥最低賃金枠」、⑦「物価高騰対策・回復再生応援枠」の7つの枠が設けられました。

※今回の公募では、前回あった「サプライチェーン強靭化枠」の公募はありません。


申請の受け付けは、今日現在「調整中」で、応募の締め切りは、令和5年10月6日(金)18:00までとなっています。


申請は、電子申請システムでのみの受け付けで、申請するにはGビズIDプライムアカウントを取得する必要があります。アカウントの取得は、こちらのホームページから申し込むことができますが、発行までには一週間程度期間を要しますので、応募を検討されている方は早めのお申し込みをお勧めします。


以下に、応募に際しての注意点をいくつか挙げておきたいと思います。

【事業計画書】

事業計画書は、あくまでも申請者自身で作成しなくてはなりません。ただし、作成において認定経営革新等支援機関を含む外部機関の助言を受けることは問題ありません。

【補助対象要件】

最低限下記の二つの要件を満たす必要があります。

経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。

補助金額3,000万円を超える案件は、金融機関による確認も必要となります。

②補助事業終了が3~5年で付加価値額を年率平均3.0%~5.0%(事業類型により異なります)以上増加させること。又は従業員一人当たり付加価値額を年率平均3.0%~5.0%(事業類型により異なります)以上増加させること。

※上記の要件に加え、各事業類型ごとの要件を満たす必要があります。

【採択について】

事業再構築補助金の採択ついては、提出された事業計画を外部の有識者からなる審査委員会が評価し、より優れた事業計画を提出した者補助金交付候補者として採択されます。

【罰則について】

補助金の申請にあたって、「虚偽の申請による不正受給」補助金の目的外利用」が判明した場合には、罰則が適用されます。その場合、補助金の交付決定の取り消しだけでなく、加算金を課した上での交付済み補助金の返還が求められます。

また、交付決定の取り消しを受けた場合、「5年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金または両方」に処せられることがありますので、注意が必要です。


最後に、事業再構築補助金の詳しい内容を知りたい方は、こちらでご確認ください。



聞き取る力

毎日暑い日が続いていますね。


昨日は朝から重たい荷物を背負って駅まで10分ほど歩いたのですが、着いてからしばらくは汗が止まりませんでした。


さて、最近いろんな先生方と名刺交換したり、いくつかの会合などに参加してみて、行政書士に限らず「士業」にとって、「相談スキル」がいかに大切かということを痛感させられました。


とくに私のように未経験で開業した行政書士にとっては、まず「実務がわからない」ということが最初の関門のように思えるのですが、実はその前の、「相談をいかに受けるか」のほうがずっと難しいことなのかも知れません。


例えば、「建設業の許可を取りたい」といった一見単純に見える相談も、許可の要件はもちろん相談者の置かれている状況などを的確に聞き取ったうえで判断する必要があります。


それが個人の相続や家庭の事情などが絡む相談となるともっと複雑で、相談者が本当には何を望んでいるのか、またその背景には何があるのか、そういうところまで想像しながら聞き取ったうえで、それがあくまでも「法律」にのっとっていかに解決できるのか。そういう判断を下さなくてはなりません。


しかもその判断が、「法律論」としては間違いではなかったとしても、必ずしも相談者の「利益」になるとは限らない。法律論からは間違いではない判断が、「税務」の面から見ると結果的に相談者に不利益を与えてしまうことだってあり得る。


そういうふうに、あるひとつの相談に対しても、法律の側面、税務の側面、時には許認可や個人の資格など様々な面から総合的に判断しなくてはなりません。


行政書士として誰かの相談に乗るということは、それくらい高いスキルが要求されることだということを、しっかりと肝に銘じておく必要があるのだと思います。


今回は、自分自身への戒めの意味も込めてブログを書いてみました。


実務の勉強メモ その33 「産業廃棄物収集運搬業許可」(1)

実務の勉強メモ、今回は「産業廃棄物収集運搬業許可」の業務について。

産業廃棄物収集運搬業(積み替え保管を除く)許可の要件


産業廃棄物収集運搬業(積み替え保管を除く)の許可の要件は下記の5つになる。要件はすべて満たす必要があり、一つでも欠けている場合は許可を受けることができない。


要件① 講習会の受講を修了していること

申請者には、産業廃棄物の収集運搬業を正しく行うための知識と能力が必要とされる。そのため、許可を申請するには、法人の場合には常勤の取締役、個人の場合には個人事業主が、「公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター」が実施する講習会を受講し、修了している必要がある。講習会は、全国どこの会場でも受講することができる。


要件② 経理的基礎があること

産廃収集運搬業を的確かつ継続的に行うことができる経理的基礎があることが必要とされる。経営状況が悪化した受託者が、産業廃棄物を適切に処理せずに廃業してしまうなどの事態を防ぐため、申請時には、決算書などの提出が求められる。

具体的には、直近3年間の決算書の当期純利益の金額、債務超過になっていないか、自己資本比率、税金の納付状況など総合的に判断される。財務内容によっては、追加資料として中小企業診断士による経営診断書等を提出することで、許可を取得できる場合がある。


要件③ 適切な運搬施設があること
     
産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れる恐れのない運搬車、運搬用器等の運搬施設を有すること。また、継続的に運搬施設等の使用権原を有する必要がある。

専用車両を停めておくための駐車場も必要になる。それぞれの使用権原を証明するための、不動産登記簿や賃貸借契約書の写しなどの提出が求められる。


要件④ 事業計画があること

収集運搬事業計画を作成し、提出する必要がある。事業の内容が計画的に実施され、適法であり、業務内容や業務量に応じた施設や人員など、業務遂行の体制を整えていること、運搬先の処分業者が処分業・中間処理業の許可を取得していることなどが必要とされる。


要件⑤ 欠格要件に該当しないこと

法人においては、役員、株主又は一定の権限を持った管理職、個人の場合は事業主が、以下の欠格事由に当たらないことが必要。

成年被後見人被保佐人・破産者で復権を得ない者
・禁固以上の刑を受け、5年を経過していない者
廃棄物処理法等の法律に違反し、罰金以上の刑の処罰を受け5年を経過しない者
暴力団の構成員である者
・その業務に関し不正又は不誠実な行為をする恐れがあると認めるに足りる相当の理由がある者
     
許可を取得後に欠格要件に該当した場合には、許可の取り消し処分を受けることになるので注意が必要。


以上、今回はここまでです。


実務の勉強メモ その32 「建設業許可」(6)

実務の勉強メモ、「建設業許可」業務についての続きです。

「建設キャリアアップシステム(CCUS)」について


建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、技能者一人ひとりの就業履歴、資格、社会保険の加入状況等を横断的に登録・蓄積することで技能の公正な評価、工事の品質向上、現場の効率化などにつなげるシステムのこと。平成31年4月から本格運用が始まった。


これまで建設業の技能者は、様々な建設業者の現場で経験を積んでいくことから、個々の技能や能力が一元的に評価されにくく、その能力や役割が処遇に反映されにくい環境にあった。


この「建設キャリアアップシステム(CCUS)」に登録すると、一人ひとりの技能者に対し、ICカード(建設キャリアップカード)が交付され、いつどの現場に、どの職種で、どの役割で働いたのかを日々の就業履歴として電子的に記録・蓄積することが可能となる。


そのことを通して、技能者の評価が適切に行われ、処遇の改善、人材の育成など今後の建設業界の発展に寄与していくことを目指している。建設業者、技能者の双方にとって様々なメリットがある。


登録は、「一般財団法人建設業振興基金」のホームページからのインターネット申請と「認定登録機関」の窓口申請と二つの方法がある。

「認定登録機関」とは、申請書類の受け取りや記入補助を行い、本人情報や資格等の真正性を確認し、「登録のできる窓口」機関のことで、主に各都道府県の建設労働組合などがその役割を担っている。


「CCUS登録行政書士」とは


2022年2月より、建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者、技能者登録をより一層拡大していくため、CCUS事業者登録が行政書士にも認められ、登録事業者として「代行申請」を行うことが可能となった。


このうちCCUSに事業者登録した行政書士(個人事務所・法人)で、所定の講習を修了したのち、建設業振興基金のホームページの名簿リストに掲載された行政書士のことを「CCUS登録行政書士と呼ぶ。


尚、行政書士の事業者登録には、事業者登録料(5年毎)6,000円と管理者ID利用料(毎年)11,400円が必要となる。


以上、今回はここまでです。


不幸のなかの「幸福」

ここ数日ずっと雨だったのが、今日は朝からいいお天気です。日差しが「夏」を思わせます。


さて、しばらくブログをさぼっていたのですが、今日は久々に書いてみたいと思います。


不幸のなかの「幸福」


なんか変なタイトルを付けてみましたが、そういうことって確かにある、と最近よく考えます。


例えば、重い病気になる。これは大変「不幸」なことかも知れません。


けれども、その病気になったおかげで、これまで関係の無かったたくさんの人達が自分のお世話をしてくれるようになる。


自分の家族はもちろん、お医者さんや看護師さん、さらには福祉関係の方や役所の方たちなど、本当にたくさんの人達が「自分」という一人の人間を生かすために関わってくれる。


もちろん、家族をのぞけば、仕事だからという理由が大半かも知れません。しかし、そうであったとしても、その人たちが人生の掛けがえのない時間を自分との関わりのなかで過ごしてくれていることに違いはありません。


それはやはりありがたいことであり、ある意味では「幸福なこと」と言えるのではないでしょうか。


そういうなかから、健康な時には見えていなかったものが見えてくることだってあるかも知れません。


健康のありがたみ、人への感謝の気持ち。何か一つでもこれまで感じていなかった新たな意味を自分の病気を通して発見できれば、それはその人にとっての貴重な経験であると私は思うのです。


そうなれば、病気という「不幸」のもたらす意味も全然違ってくる。病気というものを通して自分の人生の新たな価値を発見する、と言いかえてもいいのかも知れません。


よく巷では「ピンチはチャンス」などと言われたりしますが、そういうものとも少しニュアンスの違う、何か昔から人間が培ってきた「知恵」とでも呼べるようなものが、そこには潜んでいるような気がします。


不幸のなかに「幸福」を見出す力。


人間には確かにそういう能力がある、と私は思うのですが。


フランソワ・トリュフォー監督の『柔らかい肌』

最近なぜかCS放送フランソワ・トリュフォー監督の映画が立て続けに放送されていて、私はそのなかの一つである『柔らかい肌』(原題:La Peau douce)という映画を観ました。


トリュフォー監督と言えば、アントワーヌ・ドワネルを主人公にした自伝的な作品群が有名で、私もそちらの方には以前から親しんでいました。


ただ、この作品を観るのは初めてで、特に期待して観たわけではないのですが、思いがけず魅了されてしまいました。


「名作」でも「傑作」でもなく「名画」と呼ぶのがいかにも相応しい作品、それがこの『柔らかい肌』という映画の一番の特徴ではないかと思います。少なくとも私はそういう印象を受けました。


名声もあり家庭生活にも恵まれた一人の中年男が、若い女性とのふとした出会いをきっかけに破滅に向かっていく。


ストーリーも確かに刺激的なのですが、しかしそれ以上に映像と音楽、この二つがときおり息をのむような美しさを織り成していて、そこに私は最も魅かれるもの感じずにはいられませんでした。


逆に、「モノクロ」とはいえこの音楽と一体になった「映像美」があればこそストーリーにもより一層の説得力が生まれてくる、そういう作品になっているのではないかと思います。


こういう「映画」をこそ、是非映画館で観てみたい、私にとってはそう思わせてくれる作品でした。


音楽はジョルジュ・ドルリュー、撮影はラウール・クタール。どちらもトリュフォー監督の作品には常連の二人のようです。


蛇足ですが、この映画で若い恋人役を演じているのは、カトリーヌ・ドヌーヴの姉のフランソワーズ・ドルレアック。『ロシュフォールの恋人たち』で二人は共演していて、私はそちらのほうで印象に残っていたのですが、二十五歳の若さで亡くなっていたことを今回あらためて知りました。


実務の勉強メモ その31 建設業許可(5)

実務の勉強メモ、今回も「建設業許可」業務について。


建設業の許可を受けるためには、建設業法に定められた「許可の要件」をすべて満たす必要がある。


一般建設業許可については建設業法第五条から第八条、特定建設業許可については建設業法第十五条から第十七条においてその基準が定められている。


このうち、一般建設業許可」の主な要件は下記の五つとなる。

➀常勤役員等(経営業務の管理責任者等)
 ⅰ. 適正な経営能力を有すること
 ⅱ. 適切な社会保険に加入していること


➁専任技術者
 主たる営業所、従たる営業所のすべての営業所において常勤の専任技術者を選任する必要がある。


➂財産的基礎を有すること
 ⅰ. 自己資本が500万以上あること
 ⅱ. 500万以上の資金調達能力があること
 ⅲ. 直前の5年間で許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在許可を有していること
 上記ⅰ~ⅲまでのいずれかに該当すること。


④請負契約における誠実性があること
 法人においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約において不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。


⑤欠格要件に該当しないこと
 具体的には建設業法第八条に定めのある欠格要件に該当しないこと


以上、今回はここまでです。