行政書士開業 徒然日記

57歳で行政書士開業を決意した男のブログです

実務の勉強メモ その30 建設業許可(4)

実務の勉強メモ、今回も「建設業許可」業務について。


【建設業許可が必要かどうかの判断基準】

原則として、建設業を営むには、建設業の許可を受ける必要がある。(建設業法第三条第一項本文)

ただし、これには例外がある。すなわち、
建設業を営む者であっても、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、許可を受ける必要はない。(建設業法第三条第一項ただし書)


どのような工事が「軽微な建設工事」に当たるのかは、建設業法施行令第一条の二において、次のように定められている。

(法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事)
法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。

つまり、

① 建築一式工事以外の工事⇒請負代金の額が500万円未満の工事
② 建築一式工事⇒請負代金の額が1,500万円未満の工事
  または
  延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事

の場合には、許可は不要となる。

※ここでいう請負代金の額は、消費税を含んだ金額のこと。


「建築一式工事」とは

総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事を言い、大規模かつ複雑で、専門工事では施工困難な建設工事や、複数の専門工事を組み合わせて施工する建設工事のことを指す。

具体的には、大きなマンションや大規模なショッピングモールの建設などをイメージすると良い。


以上の基準によって許可の必要性の有無を判断し、許可が必要な場合には「許可の要件」について検討していくことになる。


ただし、許可が不要な場合でも、業種によっては他の法律により登録や届出をしなければならない工事などもあるので、注意を要する。


以上、今回はここまでです。


実務の勉強メモ その29 建設業許可(3)

実務の勉強メモ、今回も「建設業許可」業務について。


【建設業許可の区分】

1)国土交通大臣許可と都道府県知事許可の区分

建設業の許可は、営業所の設置状況により、国土交通大臣許可と都道府県知事許可とにわけられている。(建設業法第三条第一項)


すなわち、

建設業を営もうとする営業所が、
二つ以上の都道府県にある場合⇒国土交通大臣許可
一つの都道府県内にのみある場合⇒都道府県知事許可


許可の申請もそれぞれ区分に該当する許可権者に提出する必要がある。


※「営業所」とは

ここでいう「営業所」とは、本店、支店、若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所であって、少なくとも以下の要件を備えているものをいう。

➀請負契約の見積り、入札、契約締結等実態的な業務を行っていること。
➁事務所等建設業の営業を行うべき場所を有し、電話、什器備品を備えていること。
➂➀に関する権限を付与されたものが常勤していること。
④専任技術者が常勤していること。


建設業には全く無関係なもの及び単に登記上の本店、単なる事務連絡所、工事事務所、作業所などはこの「営業所」には該当しない。


ただし、常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、「営業所」に該当する。


2)一般建設業特定建設業の区分

発注者(施主)から直接工事を請け負い、かつ4,500万(建築一式工事にあっては7,000万)以上を下請契約して工事を施工するもの⇒特定建設業の許可

それ以外の工事を施工するもの⇒一般建設業の許可


特定建設業一般建設業かの判断は、あくまでも元請けとして下請に発注する額によって決まる。従がって、元請として発注者から請け負う金額に制限はない。


a)発注者(施主)から8,000万円の金額で直接受注(元請)、うち4,500万円分を下請に出す場合⇒特定建設業
b)発注者(施主)から1億円の金額で直接受注(元請)、うち4,000万を下請に出す場合⇒一般建設業


※「発注者」とは、建設工事の注文者で、他の者から請け負っていない者のこと。


以上、今回はここまでです。


実務の勉強メモ その28 建設業許可(2)

実務の勉強メモ、今回も「建設業許可」業務について。


建設業法における「建設業」とは

建設業法においては、「建設業」についても規定がある。

この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。(建設業法第二条第二項)


「元請」「下請」について

発注者(施主)から最初に工事を請負った元請業者が下請契約(一次下請)を結んだ場合、元請業者(注文者)が「元請負人」、請負人が「下請負人」になり、次にその下請負人がさらに下請契約(二次下請)を結んだ場合には、請負人との関係では、その下請負人(注文者)が「元請負人」になり、請負人が「下請負人」になる。

以下、三次下請契約が結ばれた場合においても同様の関係になる。(二次下請における請負人(注文者)が元請負人、三次下請における請負人が下請負人


「いかなる名義をもってするかを問わず」とは、「元請」、「下請」だけでなく、個人であるか法人であるかにも関係なくという意味になる。


「請け負う」について

ここにいう「請け負う」とは、報酬を得て、建設工事の完成を目的として締結する「請負契約」のことをいう。従って、資材購入、調査業務、運搬業務など建設工事に該当しないものは、ここでいう「請負契約」には当たらない。


以上、今回はここまでです。


実務の勉強メモ その27 建設業許可(1)

実務の勉強メモ、今回は「建設業許可」業務についてのメモです。


まず、「建設業許可」という制度は、「建設業法」の規定によって定められた制度である。そのため、建設業許可の申請手続きについては、この「建設業法」をしっかりと理解したうえで進めていく必要がある。


建設業法における「建設業者」とは

建設業法において、「建設業者」とは次のように定められている。

この法律において「建設業者」とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう(建設業法第二条第三項)


つまり、建設業法においては、法律上(第三条第一項)の

許可を受けている者⇒建設業者であり、かつ建設業を営む者
許可を受けていない者⇒建設業を営む者ではあるが、建設業者ではない

ということになる。


ただし、許可を受けていないからと言って、直ちに法律違反に当たるというわけではない点に注意する必要がある。


建設業法においては、一定の範囲内であれば許可を受けずに建設業を営むことが認められている。


逆にいうと、許可を受けていない場合には、その範囲内においてしか建設工事を請け負うことができないということであり、もし、許可を受けていないにもかかわらずその範囲を超えて建設工事を請け負った場合には、建設業法違反に該当することになる。


同じ建設業を営む者であっても、建設業法上の「建設業者」であるかどうかによって、請け負える工事の範囲が違ってくるということをまずは理解しておく必要がある。


以上、今回はここまでです。


チェーホフの『ワーニャ伯父さん』

昨日は夜中に目が覚めて、そのまま眠れそうになかったので、朝まで本を読んで過ごしました。


最近、何故か心に引っ掛かっていたチェーホフの『ワーニャ伯父さん』


所謂チェーホフの「四大戯曲」と言われる作品の一つです。


私は二十歳前後に読んで、どれだけ泣かされたかわかりません。


久しぶりに読み返してみても、やはり所々で泣けてきます。


今も昔も変わらず、人はそれぞれいろんな苦しみや悲しみを抱えながら生きている。そういう当たり前のことが、この作品からは痛い程伝わってきます。


人生の一番いい時期を無駄に過ごしてしまったと嘆く主人公のワーニャ。働き者でやさしい心根の持ち主でありながら器量に恵まれない故に恋を成就させることのできない姪のソーニャ。才能と思慮に富みつつも野蛮な環境の中で日々の仕事に追われる医師のアーストロフ。若さと美貌に恵まれながらも定年退職した元大学教授の夫と共に無為の毎日を過ごさざるを得ないエレーナ。


この作品では、誰一人として自分の思うような人生を送ることが叶わない。その「辛さ」が読んでいてひしひしと伝わってくる。


そこには、それでも人は生きていく他はない、それが人生の厳しい真実なのだ、という作者の声が聞こえてくるような気がします。


ただ、その「厳しい真実」を語る作者の目線は決して残酷なものではなく、どこかあたたかい血の通ったもので、そこがチェーホフの優しさであり、読んでいて慰めを与えてくれる所以でもあると思います。


あと、これはチェーホフの他の作品、『三人姉妹』でも『桜の園』でもそうですが、時の流れの持つ何とも云われない無情感が共通して流れていることも、作品に奥行きを与える一因になっているように思います。

























 

実務の勉強メモ その26 ドローン飛行許可(5)

実務の勉強メモ、今回も「ドローン飛行許可」業務について。


【ドローン飛行許可申請の流れ】

・申請の準備から許可取得までの期間は約一カ月ほど必要。

・申請から許可取得までは約2週間。国土交通省の目安としては、土日祝日を除いた10閉庁日前までの申請が求められている。

・申請までに決めること。

➀飛行日時と期間

➁飛行させる場所

➂操縦者

④機体

⑤飛行目的


・申請方法はオンライン申請(DIPS)と郵送申請の二種類がある。オンライン申請の方が郵送申請よりも早く許可を取得できる。申請数もオンライン申請の方が多い。

(オンライン申請の流れ)

(1)アカウントの作成
アカウントの作成には、パソコン・インターネット環境・メールアドレスが必要。アカウントには個人用と法人(企業・団体)がある。

(2)ドローン情報の入力
無人航空機情報の登録・変更」を選択し、ドローンの情報を入力する。

(3)操縦者情報の入力
「操縦者情報の登録・変更」を選択し、操縦者の情報を入力する。

(4)申請書情報の入力
「申請書の作成(新規)」を選択し、申請書を作成する。

(5)補正指示発行通知
申請した内容に不備があった場合には、メールアドレスに通知が届く。不備の内容を確認し、補正対応ができれば許可が下りる。

(6)審査終了通知
申請内容に不備がなければ審査終了のメールが届く。オンライン申請では電子許可書か紙の許可書のどちらを受け取るか選択することができる。


(郵送申請の流れ)

(1)申請書の案の作成
まずはメールで申請書案の事前審査を受ける。

(2)整理番号のお知らせ
申請書案を送付後、整理番号の記載されたメールが届く。

(3)申請書の修正依頼
申請内容に不備があれば、修正依頼のメールが届く。

(4)申請書の原本送付依頼
審査終了後、許可書発行の手続きに入る。申請先からは、申請書原本の送付依頼がメールで届く。この申請書原本を返信用封筒と一緒に申請書窓口に郵送したのち、紙の許可書が返送される。


以上、今回はここまでです。


「行政書士法」、やっぱり奥が深い。

昨日は、行政書士会中央研修所による「一般倫理研修」を受講しました。


この「一般倫理研修」は、全会員に受講が義務付けられているもので、私が所属するブロックでは昨日がVOD受講の初日だったため、早速受講した次第です。


研修の目的としては、昨今の職務上請求書の不正使用による事件などを受け、法令の再確認と職務上請求書の適正使用の徹底を図るものだと言えるかと思います。


義務研修ということで、正直あまり乗り気ではなかったのですが、受講してみると改めて勉強になるところがたくさんありました。


特に「行政書士法」、「住民基本台帳法」などとの関わりから見た職務上請求書を取り扱う上での注意点など、その責任の重さを痛感させられました。


法に基づいて業務を行うことは、やはり生易しいものではありません。一つ間違えば人に迷惑を掛けるだけでなく、自分自身の身の破滅にも繋がりかねない、それくらい大変なものだと思います。心してかからねばなりません。