「行政書士法」
言うまでもなく、私たちが行政書士として仕事ができる、その根拠となる法律です。
行政書士は、依頼者の「権利」や「義務」に関わる仕事ですが、その行政書士である私たち自身の「権利」や「義務」を明確化してくれているのが、この「行政書士法」だと思います。
ある意味、行政書士としての私たちを「守って」くれている法律だと言ってもいいのかも知れません。
開業を目の前に控え、私は改めて行政書士法を勉強し直してみて、そのことを再確認することができたように思います。
当り前のことですが、行政書士法も、他の法律と同じように時代の流れ、社会の変化に応じて、その都度必要な改正がなされてきています。
ただ、私が持っている本の解説によると、一口に「改正」と言っても、なかには大きなポイントとなる重要な改正がいくつかあったことが窺えます。
そういう行政書士法の変遷を眺めてみると、今私たちが行政書士として享受できる「権利」も、決して自明のものではない、ということがよくわかります。
というのも、法改正においては、法律の文言が一つ変わっただけで、行政書士である私たちの業務に大きな影響を及ぼすようなことが、十分に考えられるからです。
幸いなことに、これまでの改正は、社会の変化に法の目的を適合させるという観点から、むしろ権利が拡充される方向でなされてきているように見受けられます。
おそらく、行政書士会や諸先輩方をはじめ、多くの人の努力の賜物なのかも知れませんが、それはともかく、私たちの拠り所である行政書士法が、時代や社会の流れに応じて変わらざるを得ないものであるのは、確かなことです。
これからの時代、デジタル化の促進、AIの普及などにより、行政書士を取り巻く環境には、大きな変化が訪れることが十分に予想されます。
私たち行政書士自身が、そういう時代の変化に適合していく必要があるのはもちろんですが、一方で、行政書士法自体も、これまでがそうであったように、その目的が適正に果たされるよう、常に進化させていく必要があるのだと思います。
「権利の上に眠るものは保護に値せず」という法格言にもあるように、私たちには、この法律に「守られて」いるのと同時に、自らの手で「守って」いく努力が、求められているのかも知れません。