最近では「親ガチャ」などという言葉にもあるように、「子供は親を選べない」というのが、ふつう世間一般の常識だと思います。
私も実際に、子供が生まれて間もない頃、「子供は親を選べない。だから頑張りなさい」という意味の言葉を掛けられたことがあります。
その時の私は、そういうものかも知れないと、特に疑問に思うこともありませんでした。
子供は親を選べない。それは確かに、その通りなのかも知れません。
でも、もし子供が、自ら親を選んで生まれてくるのだとしたら、どうでしょう。
常識で考えるのとは、また違った風景が見えてくるのではないでしょうか。
ちょうど同じ頃に、私はある学者が書いた本を読んで、「子供は親を選んで生まれてくる」という考え方があるのを知り、目からうろこが落ちるような経験をしました。
「子供が親を選んで生まれて来るなんて、そんなバカなことある訳がない」
大抵の人は、そう思われるかも知れません。
確かその本を書いた学者も、科学的に「証明」されているわけではないと断っていたように思います。
そのうえで、そうとしか考えられない「事例」があることを、その学者は紹介してくれていたのでした。
子供が、親を選んで生まれてくる。果たしてそれが本当なのかどうか。
ただ、私がここで大切だと思うのは、それが本当かどうかということよりも、一旦そういうものとして受け入れて考えてみるとどうなるか、ということではないかと思います。
そうすると、これまで当たり前と思っていたことの意味が、まったく違ったものとして見えてくる。
そして、その時自分だけに見えてくる風景の持つ意味。それは、決して他人の口出しする余地のない「真実」であることに間違いはありません。
一応誤解の無いよう断っておきますが、私は宗教的な話をしているわけではありません。
ただ、かつて私が、「この子は、わざわざ自分たち夫婦を選んで生まれてきてくれた」そう思いながら我が子を見つめ直した時、私のなかにそれまでよりも一層子供を愛おしく思う感情が湧き上がってきたこと、それは紛れもない事実です。
そしてその時私が感じた思い、それが「真実」なものであることも、また確かなことだと私は思うのです。