季節と音楽には、切っても切れない密接なつながりがある。
これは、私だけでなく、多くの人が当り前のように感じていることだと思います。
ありがたいことに、日本には「四季」があって、春夏秋冬常に季節は移ろいゆき、決して同じ表情のまま止まるということがない。
音楽もまた、時間の流れとともに常に移ろい、刻一刻と変化していく。
季節の移り変わりに合せて育まれてきた私たちの生活感情。その時々の思いを、音楽はしっかりと受け止め、更なる彩りを与えてくれる。
ヨーロッパに由来する「クラシック音楽」が、日本人である私の四季折々に抱く生活感情と、何故かくも自然に溶け合うのか、私は時々不思議に思うことがあります。
春のさわやかな風と共に流れるモーツァルト、真夏の漲る生命の燃焼を感じながら聴くベートーベン、静かな秋の夜長に聴き入るブラームス、真冬の曇天の空を眺めながら聴くチャイコフスキー。
それらはどれも、まさにその時にしか味わうことのできない貴重な感覚を、いつも私に呼び覚ましてくれます。
音楽が季節を深め、季節もまた音楽を深める。
私は季節の中に音楽を聴き、音楽の中に季節を感じる。
やはり季節と音楽には、言うに言われぬ微妙なつながりがあって、それを味わえることは、生きていく上でのありがたい恵みの一つだと、私は思っています。